| 大学教育が問い直され始めて何 年にもなります。大学の数も、大学生の数も増え続け、2人に1人が大学に行くという高学歴社会に
なり、膨大な予算がつぎこまれていますが、学生も指導教官も、今の大学教育の日常に満足している 人は、さほどおおくないのではないでしょうか。
また、学歴を手にするため、子どもや思春期時代遊 びや興味をおさえて受験勉強し、入学、大学のシステムを4年こなしてきても、大卒就職率は54%
の時代で、大学さえ行けば人生の保障が得られるわけではない状況もひろがっています。
人は誰でも、知りたい、学びたい欲求をもっています。特に青年期は、それ が顕著であり、かつ、自ら探求する力と技法を身につけてきている時期で、学問研究や表現を共に深
め合える仲間と、数歩先を歩いている秀れた水先案内人がいれば、面白いと感じながら、自らのテー マをすすめていくことができるのではないでしょうか。
「シューレ大学」は、1999年4月、「自分の知りたいこと・表現したい ことを、自分にあったスタイルで探求しよう」「学生たちで運営していく大学とし、入試なし、入り
たい人が入り、単位や年限・卒業条件はなく、それらは探求する学生自身が自己決定をしていこう」 「キャンバスは日本中、世界中であり、自宅も大学の場と考えよう」など、全く新しい発想のもと、
そんな大学を創ってみたいという若者たちの手でスタートしました。
学生数も30人定員。空間も十分でないミニな大学ですが、雰囲気もアット ホームで楽しそうですし、またどのようにも創っていけるわけで、未来への可能性を秘めています。
施設・設備は充実したほうがいいわけですが、それが最も大事なことではないのではないかと思いま す。施設・設備がないと、探求はできないと考えるのではなく、学生数が増えたら拡充していこうと
いう身の丈にあった服で無理をせず、すすめてきました。ここにきて、場所の問題に新しい展開が出 てきました。
新宿区内のもと出張所が遊休施設となっており、2月15日、そちらを区か ら借り受けることが決まりました。移転すれば、今より広くまた、より探求しやすい空間にできそう
でとても楽しみです。 「シューレ大学」は、NPO法人東京シューレが母船であり、事業活動の一 環として、学生さん達が創るオルタナティヴな大学を経済的に支えています。いわば「NPOがつく
る大学」であり、そのような大学は大変めずらしく日本では初の大学でしょう。
東京シューレは、1985年に開設した学校外の居場所・フリースクールで す。 登校拒否・不登校の激増を背景に、子ども・若者の学び育つ場が、学校だけという考え方では
なく、学校以外にも多様にあることがこれからの時代にふさわしいそこは、子ども達にとって安心で きる居場所であり、また、子ども達が自由に通ってきています。そして、子どもの自己決定と自治を
中心に場を創り、個々のありようを尊重することを理念に親・市民の力で維持運営されてきて、19 99年、東京都よりNPO法人の認証を受けました。
現在6歳〜18歳を受入れ対象とし、20歳まで 在籍できますが、現在3スペースに約200人、17年間には、1000人を超える子ども・若者た
ちが活動して育ちました。通うスペースだけではなく、ホームエデュケーションを支援するホームシ ューレ部門もあり、全国500世帯がつながっています。
東京シューレを知る人は、「シューレ大学」というのは、居場所の延長であ り、一般大学に通えない人が通うところ、と勘違いされる方がありますが、そうではありません。不
登校の当事者の方もそうだと思いますが、私たちは不登校を通してたくさんのことを学びました。そ して、学校とか常識とか今まで「普通」と思われていたことを問い直し、既製の教育・価値観・人間
関係・社会のあり方、自然との関わり方を新しいものにしていくヒントが、たくさんあることに気づ きました。「シューレ大学」では、そういったユニークな視点から、さまざまな学問探求も行われる
と思います。未来に向かって開かれているのは、時代を開く質的なものをはらんでいる、ということ もあるのです。
なお「シューレ」とは「精神を自由に使う」という意味のギリシャ語です。 今後末永く関心を寄せていただければ幸いです。 |