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学生の声

どうしてシューレ大学に入ったのか、これからどう生きたいのか。
そういったことをテーマに学生が書いた短いエッセイです。

今のわたしの『そのまんま』

シューレ大学に入学してこの春で一年になる。私はこの一年、慣れる事に意識を置いて過ごしてきた。東京での生活、一人暮らし、シューレ大学、大学の人との関係づくり、何もかも初めての事だらけだったから。

私は、自分が自分でなくなっていくのが怖くて、逃げるようにシューレ大学に来た。この機会を逃すともう、生きているんだけれど死んでいるような、死んだまま生きていってしまうような気がして、私はすごく焦っていた。何も感じないまま、自分を殺して生きていってしまいそうで、とても恐ろしかったし、悲しかった。

いつからか私は、私が何か望んでも、それを行動に移してはならないというような感覚を持っていた。私が幸せになる事は、人を不幸にする。私が私として生きるという姿は友人から反感を得るのだ。

シューレ大学に入って、私は、講座などでの学生の発言や発表にいちいち反応した。共感した。私が感じてきた事を同じように感じる人がこの世に存在している。嬉しい反面、私の中の強烈な思いもあふれだしてきて苦しくなった。

又、違う考えも私を安心させた。人と同じではない想いは、嫌われる方向ではなく、分かろうとする方向へ進むからである。私は彼らがとても愛おしかった、生きているのだなあと感じた。でも、私は私の事をそのように愛おしくは感じれなかった、全ては許せない。

私は、好きな演劇をしている時、苦しくなった。トラウマとか、やってる戯曲を取り込みすぎて体調を崩した。そんな時、休む事が許された、話を聞いてくれた。私は、演じる事を苦しいままに、本番を迎えずに済んだ。そして、久々のステージで念願の演劇が出来たのである。公演は凄く刺激的で楽しくて、この雰囲気がこの感じが私は好きなんだと改めて感じる事が出来た。

日々、私は彼らに許される。話せない私も緊張する私も、飛び跳ねる私も舞い上がる私も全て、そのまんまでいいって言ってくれる。常に彼らに許されている感じがする。でも、私は自分を許せない。

気にされていたり、話をしていく中で、私は彼らを感じる。私は様子を見ながら私の中にあるものを話してゆく。本当に話しても通じない話として私の中に存在しているものが、通じた時は凄くホッとする。ホッとした。ああ、私は本当にこのまんまの私で居ていいのだなと感じた。

最近、砂川さんを呼んで公開講座をした。私は彼の話を聞いてとても解放された。私は私のままでいいのだなと強く感じる事が出来た。性は多様にある。好きな事も、したい事も、作りたい関係性も、全て自分の中から生まれる。私は私で良い! 私でしかない!

私は、私が話したいと思った時に、その思いを伝えてもいいんだと思えた。やりたい事をやっていい。嫌だと思う事は拒否してもいい。嫌だった事を伝えてもいい。好きな気持ちを、会いたい気持ちを伝えてもいいんだ。いいんだー。

08年7月 脊尾 花野

シューレ大学の魅力とは?

シューレ大学は「世界でも珍しいオルタナティヴ大学」なのですが、その珍しさが災いしてか、多くの人々に理解されにくい場所でもあります。これが一般的な大学であれば、大学名を出しただけで納得され、一流大学に行っていようものなら尊敬や賞賛されることもありますが、シューレ大学に行っていても誰も賞賛してくれません。むしろ「シューレ大学ってなに?そこで何やってるの?」と、ますます疑問をもたれてしまうことがほとんどです。

そして、シューレ大学とはどういうもので、そこで何をしているかと問われたとき、私は答えに窮してしまいます。もちろん「世界でも珍しいオルタナティヴ大学」であるなどの説明をすることはできますが、それだけではなにかが足りない。私がシューレ大学で体感した、なんらかの感覚や知識は、はっきりと言葉にすることができません。つまりそれは、私自身がシューレ大学がどんなところで、自分がそこでいったい何をしているかを、きっちり消化し、意識できていないということでもあります。そしてそんな人間の書いた文章が、この活動報告やシューレ大学のホームページに掲載され、学生の親族の方や、アドバイザーのみなさん、シューレ大学に興味を持った方々に読まれてしまう。私はシューレ大学の魅力をうまく語れません。徹底して無力であります。

いや、私は「無力」であることを自覚したかったのかもしれません。この大学の特徴の一つは「自分の興味からはじめられる」ということですが、制約がなく「自分の興味からはじめられる」とき、そこに必ず問いが生じます。「お前はなぜそれをやりたいのか」と。外側に制約がなければ、その問いは自分の内側に突き刺さります。そして、制約という外皮がない状態の私はとてつもなく無力だと感じます。

考えてみれば「私はここで、何をしているのか?」という問いは、歴史のなかでくり返されてきた人間の根源的な問いでもあります。そんな根源的で答えの出ない問いに、会社勤めをやめてまで向かいあう行為を、ある人は「馬鹿」と呼ぶかもしれません。しかし私はこの二六年の人生の中で、そうした問いに向かい合うことを切望しながら、自分の無力さを直視することを恐れて避けてきたのだと思います。

シューレ大学の魅力は残念ながら語れません。しかし語ることができず、無力なところからでもシューレ大学は始められます。流れる日々に押し流されてしまいそうな、小さく、しかし重要な思いの断片から思考することができます。私にとっては、そこがこの大学の魅力なのかもしれません。

08年3月 信田風馬

ヘタを学ぶ

私の名前は松川明日美です。5月頃に入学しました。

各プロジェクトの内容は、皆そのつど親切に教えてくれます。
その中で、やりたい事が明確ならば、そのことを進めて行くことが出来ます。
私の場合は入学してから学ぶ方向はコロコロ変りましたが、今は「下手」を学んでいると思います。

ここでは上手でも下手でも、けっこう必死で無意味なことに取り組んでいます。
それを白い目で見る人も、そして必死になる人も、何もせずに留まる人も、
生きずらさにそれほど変りはなく、なかなか滑稽に見えます。
「大変だね」あちこちからこんな声をかけられます。
アドバイスしているつもりでアドバイスされていたりもします。
死にそうなほど悩んだ末に、大笑いしていたりします。
ディスカッションは静かに白熱していて不気味です。
自分の事ばかり話すし、自分の事ばかり考えています。
掘り下げすぎて、たまに宗教じみてしまいます。

ここに通っても特別なスキルが身につくわけではありません。
必ず職業にありつける訳でもありません。
だけど何故か、お金を払って下手を買う必要が私にはあります。

下手な芸術。下手な論理。下手な冗談。下手なコミュニケーション。
こんなに沢山の間違えが、自分が生きていく支えになることもあります。
間違えられない事。不幸に浸れない事。それ自体が不幸だということもあります。
その中で、過程という一瞬の芸術があることも知ります。
そしてその過程を自ら否定する事さえもあります。

私はこれからも失言を繰り返し、反省することを大いに許されています。
それはある意味とても厳しいことです。
自由になりたい、そう思った途端に不自由なようだ。
変りたい、そう思った途端に変りたくないと叫ぶようだ。
間違いたくない、その思いが間違えを生むようだ。
だから私は私の矛盾を知っていきたいと思っています。

07年12月 松川明日美

言葉にして広げていく探求

私はなぜシューレ大学にいるのか。この問いは、シューレ大学が開設した九九年以来の在籍している私にとって考え続けてきた深い問いだ。「新しい場所を創りたい。そしてとにかく何かつかみたい」というのがシューレ大学開設時の思いだったが、現在に至るまでにはその思いも変化してきたような気がする。

二〇〇七年十二月「『わかってほしい』から解き放たれるとき 不登校から家族の関係を見つめて」というタイトルでシューレ大学紀要第4号で執筆した。二〇〇四年ごろから始まった講座「生き方創造」で「家族」をテーマにして考えてきたことをまとめた文章だ。

私の家族はどんな経過をたどってきたか、今後どのような家族でいたいのか――。そのテーマを考えたとき、学校に行かなくなった時をはずすわけにはいかない。テーマの「わかってほしい」は、不登校時、親と葛藤するなかで思い続けてきた言葉である。それは「不登校をした私」をわかってほしいのではなく「今、ここで苦しんでいる私を受け入れて(認めて)ほしい」という意味だ。しかし、親自身は必ずしもわかってくれなくとも私の気持ちは変化していく。当時感じてきた細かな気持ちや感情、不登校を理解するとはどういったことなのかを「わかってほしい」というキーワードから考えた。

私はこれまで不登校の経験を人前で語る機会が多かったが、不登校経験が私にとってどんな意味を持っていたのかまでは、きちんと整理しきれていなかった。しかし、今回の紀要を機会に、流れを整理することができたように思う。

また紀要をきっかけに私以外の同じように感じる人々ともつながり、不登校や親子関係を始めとして、私自身が今後どんな考えを持ち、生きたいかを、私の次のテーマにしていきたい。

シューレ大学が始まってから八年たつ。八年といえば長く感じるが、考えることには終わりがない。「生きて行く場所」をつくるのにも、そのくらいの時間が必要だった。ただ「学ぶ」のではなく、場を創り、少しずつ広げていくこと。その思いはまだまだ消えない。これからも、その思いを持ち続けることが私のひとつの生き方でもある。

07年12月 須永祐慈

しつこいくらい相手と向き合いたい

昨年十一月の国際映像イベント。あのイベントをきっかけに、シューレ大学に入ることを決心した。それから十一ヶ月がたった。当初から魅力的だった「生き方創造プロジェクト」は、わたしにとって大学にかかせない作業のひとつである。わたしは「社会と自分」をテーマに選んだ。生きプロでは言葉と文章で自分の社会像を伝え反応をもらったり、他の人の発表を聞いて反応したりしてきた。

シューレ大学では「伝える」「伝わる」ということを全体の活動で一貫して大事にしていると思う。わたしも大いに伝えたい感じたいとは思っていたが、シューレ大学に入る前は、人に一生懸命伝えようとした言葉も「理屈っぽい人なんだねぇ」「考えすぎね」などなど、わたしの言った内容に対しての答えは返って来ない。だから言葉だけでなく絵も詩も踊りも人に伝わるってどういうことなのか、言葉なんてしょせん無機的なんだなと、どこかで信じざるを得ぬ気持ちになっていた。

「伝わる」を信用していない。だから実際に生きプロでやっていることは楽しい反面、意味あんのかなぁ、やってどうするんだろう、とも思っていた。そのくらいわたしの中の「社会」とは強固でとてもつかみようのないものだと思っていた。

しかしおどろいたことに、今現在、わたしがもっている社会像と、当初の社会像は、自分としては大きく変わってしまった。いつの間にか、自分が思っていたよりも多く、伝わったり、伝えたりしていた。わたしにとっての「社会」を捉えなおしたいと思うくらい、じぶんの中の壁との対し方、意識が前とはちがう。

言葉とはなんと不思議なものかとおもう。

ずっと、当然に知っているとおもっていた言葉が、相手との関係や状況で、まるで知らなかったみたいに、深い意味と体温が身体に染み込んでゆく。しつこいぐらい相手と向き合う、肉体的言語(と言ってみた)を、わたしは長い間、使いたがって渇いていたと思う。ここに来るまでの対人関係は、それを互いに避けざるおえぬ空気があった。無いとは言わせないです。あるんですよ。

わたしは生物として、にんげんとして得たい感覚をまさぐり撫でまわし確認していたい。

発見し、同時に知らないことも増えていく。それは自分の手一つ(二つか)ではやりきれない。ひとりで産まれてこなかったのと同じように。

ひとはひとを必要とする。そんなことは、ここでなくても知れることかもしれないけれど、わたしはここに来て初めて、それを実感し始めています。

07年10月 山本朝子

私は変化しつづける

シューレ大に入り一年弱が過ぎようとしています。私の今までの人生においてこれ程濃密な日々はありませんでした。大学に入ってからというもの、それ以前のずっと家にいて滞っていた時間が嘘のように動き始めたのです。

そしてそれに伴う自己の変化も非常に激しいものがありました。例えば私は当初、「子ども・不登校」等を主に知りたいと思い入学したのですが、大学と関わっている中でそれまで特に関心のなかった様な事にも興味が湧き始め、今では演劇やソーラーカー、園芸などにも顔を出しています。「子ども・不登校」関係では、「フリースクールスタッフ養成コース」「オルタナティヴエデュケーション」「学歴・不登校」「不登校研究会」等に参加しています。

講座以外の部分でもこれまで家族以外の人と旅行をしたことがなかったのが、4月には韓国へ調査旅行に行ったり、その報告会などで人前で喋ったりと、一年前では想像がつかなかった様な事が次々と起こっていて、何よりも自分自身が信じられない気持ちでいるのです。

こうして色々な移り変わりを上げてきましたが、こんなにも変わることが出来たのはそれまでずっと一人だった私が大学に入り、人と繋がりだした中で、ガチガチに抱えてきた自分の世界観や価値観だけが全てではないということを実際に肌で感られたのが、何よりも大きな手助けになったのだと思います。それは同時に、自分で自分を苦しめていたところから新たに流れ出すきっかけでもあったのです。

これからも、おそらく私は変わり続けていくのだと思います。それは良いとか悪いとかではないですし、変化することへの不安が大きくなってしまう事も日々沢山あります。ですがその都度心掛けていたいと思うのは、「その時々の自分の気持ちに出来る限り正直でありたい」そして少しでも「ありたい方向へと向かって行きたい」という事です。これだけはずっと変わらずに持ち続けられたらと願っています。

07年07月 平井渚

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